…菓子皿のなかを見ると、立派な羊羹が並んでいる。余はすべての菓子のうちでもっとも羊羹が好だ。別段食いたくはないが、あの肌合が滑らかに、緻密に、しかも半透明に光線を受ける具合は、どう見ても一個の美術品だ。ことに青味を帯びた煉上げ方は、玉と蝋石の雑種のようで、はなはだ見て心持ちがいい。のみならず青磁の皿に盛られた青い煉羊羹は、青磁のなかから今生れたようにつやつやして、思わず手を出して撫でて見たくなる。 夏目漱石「草枕」より 隣の和菓子屋“三原堂”は繁盛しているし、向かいの小間物屋「かねやす」もしっかり営業している。 「本郷もかねやすまでは江戸の内」という川柳で有名な店である。 その藤むらも店を閉めて久しい。老舗の味をこよなく愛する方も多く、復活が待たれるものである。 ところが、羊羹だけは注文で購入が出来るという噂もあるが、伊勢丹には以前から出店していたがさて、現在は? Top▲ |
by mr-polo-no1
| 2009-10-04 08:50
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